AIと税務
昨今の生成AIの進化と普及の速度は興味深いもので、AIに仕事を奪われるという危機感を抱いている人も少なくはないのでしょうか。この税務の世界においても、AIがあれば税理士は不要だという話をよく見かけます。
ただし、その問いを私が投げかけられたとしたら、それはほんの一面で判断すると正しくもあり、全体で判断するのであれば違うと答えます。
AIの進化ほどではありませんが、税務の世界は毎年の税制改正により変わっていきます。それをAIが追えないかというと、差分の確認と情報更新など逆にAIの得意分野であろうという答えになりますが、それ以前の問題があったりします。
たとえば私も、思考の壁打ちや事例の検討漏れがないようにとAIを使うことは増えてきました。もちろんビジネス契約でトレーニングに利用されない閉ざされた場所において、個別に特定可能な名称等の情報は与えないという前提の元に利用はしていますが、そうやってAIと対話をしていると、気付くことがあります。
それは、論点に抜け・漏れがある点と、根拠の誤りが非常に多いという点ですね。これらは事例の判断においては致命的とも言える内容で、重ねて、一般の方はその論点漏れや根拠誤りに気付きづらい。
そのため結果的に間違った結論を正しいと信じるケースが見受けられます。
私も含めて、最近よく耳にしたり目にするのが、上記のAIによる誤りを根拠として相談をされてくるケースで、その場合はまず誤りを正すところから必要になるため、作業コスト・説明コストが増加していきます。
明らかにAIの回答だというのが分かっても、それが違うという根拠をこちらは出さねばならない。相手の主張を崩すという手間の増加で、AIの回答を持ってこられた時の忌避感も生まれやすくなっているかもしれません。
もっとも私は、AIというのは非常に優秀で便利な存在だと思っています。
ただ根拠として探し出してくる情報には古いものもあれば新しいものもあるし、間違っているものもある。また、個別具体的な事例になってくると、些細な条件一つで適用の可否が変わることもある。そのため、結果が間違っている時というのも多分にあるのです。
正しい貸借対照表・損益計算書が作成できているという前提を置いたうえで、いつもと変わらない日常を送り続けた結果の事業年度が終わり、さあ決算申告をしよう。その場合は、AIに任せてもさほど問題はないでしょう。それが、最初に言った「一面において正しい」場合です。
逆に、今年は少しイレギュラーなことがあった年だった。もしくは、今年はいつも通りが来年以降でイレギュラーなことがある可能性がある。そのような時については、まだAIだけでは不安が残ります。
人は万全な生き物ではないので、税理士にもミスはあります。それと同じで、AIも万能ではありません。前提条件の聞き方一つで変わる答えもあれば、誤った根拠で明後日の方向を向いた答えになっている時もあります。
そういった意味で、私はまだまだ税理士としての立場は必要なものでもあり、ただ、税理士もAIを利用していく必要はあるだろうと考えています。
…とはいえ、念のためにAIにも見解を聞いてみた結果、大間違いの答えを堂々と告げてくるので、自分の認識が間違ってたのかどうかを確認するために調べ直すという手間が生じたりもするのですが。
私も何度かそれで振り回されていますので、もっとAIをうまく使いこなせるようになりたいものです。
ちなみに、毎度頭を悩ますアイキャッチ画像を今回はAIに作って貰いました。如何でしょう。









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