2025-05-07

固定資産税について③

 先月から今月にかけて納税通知書が届く季節ですので、久しぶりに固定資産税について書いてみようかと思います。

 何度か書いているとは思いますが世間一般で散見をする「固定資産税の誤りを見つけよう、見直しをしよう」という謳い文句は、固定資産税の通知書に書かれている情報だけを見る話が多いです。
 実際には課税標準の基礎となる評価額程度からの情報しか記載がされていませんが、広さ・所有者・用途などについては見ることができますし、そこの確認からが第一歩であることは確かです。

 ではそこから更に誤りを見つけるためにもう一歩踏み込もうと思ったときに、何か手段があるのか。
 その答えは「ある」です。

 土地については国税庁の路線価方式に似ている面がありますので、その方面から比較検討することが容易だとは思います。一体利用されている土地などで取り扱いが異なることもありますが、まずは路線価と比較してみるところからかなと思います。
 それに対して、建物については分かりやすい比較対象がありません。たとえば一区画を同一事業者が買い占めて一帯に同一の建物を何軒も建ててから売り出すような場合であれば、「お隣さんと比較」というのが有効になることはあります。その場合は「固定資産税の縦覧制度」という、毎年春に行われている制度を利用します。
 これはその年度の最初の納税期限(または4/20のいずれか遅い日)まで実施されてる制度ですので、5月末納期限の自治体などでしたら、ちょうど今見ることができる制度です。これは土地についても家屋についても可能ですが、「似たようなところ」と比較してみるには良いと思います。

 ただしこれも自分が思う「似ている」とは異なる結果になっていることも多いです。
 例えば土地については同じサイズで隣接地であっても、基準となる地点が異なることなどもありますし、家屋については見た目が同じでも中身の設備が異なっているために変わることがあります。

 私の研修会などでご紹介させていただいているのですが、この場合には「課税標準の基礎となった資料」というものを市区町村から開示して貰うという手段があります。
 例えば土地であれば、平米の基礎になった縦横の長さ、適用されている路線価、何らかの理由による補正値などが記載されていますし、家屋の場合はもっと細かい資料があることが多いです。これは所有者であれば出して貰える資料ですし、委任状を貰うことにより税理士等でも取得が可能になる一般的な資料です。ただ「依頼をしてわざわざ出して貰う」必要があるために、「自動的に送られてくる課税明細書」を見ることに比べると、若干ハードルが上がりますね。
 またこの資料は市区町村の課税庁側で課税標準を決定するために作成するものとなるため、法により厳密に様式が定められているわけではありませんし、市区町村によっても様式は様々です。私が取り寄せた範囲でしたら、開示請求を受けたときに担当者が一から作る説明書のようなものが出てきたこともありました。
 そのような感じで様式が様々であるところも興味深いのですが、この評価額は本当に合ってるの?と思われたときは、一度市区町村に出して貰うというのは一つかなと思います。
 専門的知識がないと分かりにくいものもありますので、その資料の見方が分からなかったときは、まず市区町村の担当者さんに聞いてみて下さい。そうすれば、無料ですので……。

 次回はこの話から派生した、家屋の評価の話をもう少しさせていただこうかなと思っています。

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